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この夕陽に想いを馳せて【美影神羅】④
2016-12-19 22:57:40
「あの時、聞いた声は––––、誰だったんだろうね…?」

思い出せない。思い出せないんだ。思い出したいのに、何故なんだい?
美影は答えを求めるように影を見る。

影は困ったように揺らいだだけだった。
それを見て、ふふっと笑う。

「でもまぁ、生きてなかったら」


こんなに綺麗な夕陽を拝めなかったかも。


もしかしたら、本当は死にたくなかったのかもしれない。

助けてほしかったのかもしれない。

今だって、傍にいてほしかったのかもしれない。


そんな事を思って、空を見上げた。
空は広い。何処までも果てしなく続いている。
影は、夕陽に見惚れる美影を見て、ふっ…と消えた。
蝋燭の灯りが消えるように、儚く、静かに。


(もしもの話。
 『前世の記憶を持った異能探偵』のifストーリー、その1)