<< この夕陽に想いを馳せて【美影神羅】
この夕陽に想いを馳せて【美影神羅】③ >>
この夕陽に想いを馳せて【美影神羅】②
2016-12-19 22:57:19
–––––あー、もう。本当にもう。
この木更津市の何処かにある丘に寝転がり、橙色に染まった空を細目で見る。

「何で邪魔するかなぁ」

呟いて、瞼を閉じる。暗くなる視界。脳裏を過ぎる、自分の過去。

「この異能、自分の意思で操れるんじゃなかったの」

真っ黒な影に文句を一つ。

「本当、やめてくれないかな」

瞼を開けて、起き上がる。揺らめく影を足で蹴飛ばす。

『残影世界』それが美影の異能力。自分や相手の影を操る。
自分の意思で操作できるものだと思ったが、違うのだろうか。
この前の出来事を思い出して、意図的に溜め息を吐いた。

「何で助けちゃうのさ…」

それは、ある廃ビルに足を運んだ時の事。


・・・パート③へ続く